【医療従事者向け】M2P-Exosome™について
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エクソソーム関連の学術情報

ACADEMIC LITERATURE
年代 タイトル・書誌 要約
2019

Advances in therapeutic applications of extracellular vesicles

Oscar P B Wiklander, Meadhbh Á Brennan, Jan Lötvall, Xandra O Breakefield, Samir El Andaloussi. Sci Transl Med. 2019, 11, eaav8521.

脂肪移植片の維持・定着におけるエクソソームの効果(脂肪幹細胞との比較)

<背景>

  • 細胞外小胞(EV)はほとんどの細胞から分泌されるナノメートル サイズの脂質膜に囲まれた小胞で、分泌元の細胞の脂質、タンパク質のほか、様々な核酸種を含んでいる。
  • EVは細胞間情報伝達の重要なメディエーターとして機能し、生理的および病的状態に影響 を与える。
  • また、EVは生物活性成分を輸送し、生物学的障壁を乗り越える能力を持つことから、潜在 的な治療薬として活発に研究が進められている。
  • EVは、組織再生を促進し、免疫調節に関与し、幹細胞治療の代替となる可能性がある。
  • バイオエンジニアリングされたEVは、治療薬の送達手段として機能する。
2019

Exosomes Are Comparable to Source Adipose Stem Cells in Fat Graft Retention with Up-Regulating Early Inflammation and Angiogenesis

Bin Chen, Junrong Cai, Yating Wei, Zhaohua Jiang, Haley E Desjardins, Alexandra E Adams, Shengli Li, Huang-Kai Kao, Lifei Guo. Plast Reconstr Surg. 2019, 144, 816e-827e.

脂肪移植片の維持・定着におけるエクソソームの効果(脂肪幹細胞との比較)

<背景>

  • 間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソームは、幹細胞と同様の機能的特性を有し ており、組織の修復・再生に極めて重要な役割を果たす可能性が期待されている。

<方法>

  • リポトランスファーの実験系で、マウス脂肪由来幹細胞(ADSC)の培養上清 からエクソソームを分離し、その特性を調べた。
  • 脂肪組織に、エクソソーム、脂肪由来幹細胞(CAL)、または生理食塩水(PBS)を混合し、C57/BLマウスの両側の腰部に皮下移植した(n = 16匹)。移植された脂肪組織は3週間後と10週間後に採取され分析された。

<結果>

  • 移植後3週目と10週目において、エクソソーム群とCAL群の脂肪移植片は、PBS群に比較して脂肪組織の保全が良く、オイルシスト(油性嚢胞)が少なく、線維化が抑制されていた。
  • 10週目の移植片保持率は、PBS群(40.7 4.7%)に比較して、 CAL群(50.9±2.4%、p=0.03)とエクソソーム群(56.4±1.6%、p<0.001)は有意 に高かった。
  • さらに、マクロファージの浸潤、炎症性因子、血管新生因子、脂肪生成因子、細胞外マトリックスなどを調べたところ、エクソソームは、血管新生を促進し、 初期の炎症をアップさせた。
  • 脂肪移植後中期から後期にかけては、幹細胞と同様に脂肪細胞形成の促進効果を発揮し、コラーゲン合成量も増加させた。

<結論>

  • 移植後3週目と10週目において、エクソソーム群とCAL群の脂肪移植片は、PBS群に比較して脂肪組織の保全が良く、オイルシスト(油性嚢胞)が少なく、線維化が抑制されていた。
  • 脂肪由来幹細胞由来エクソソームは、初期の炎症をアップし、血管新生を促進する
  • これによって移植片の保持力を向上させ、幹細胞と同等の効果を示した。
  • これらの特徴から、エクソソームは再生医療における有力な無細胞代替物となる可能性 が示された。
2019

Mesenchymal Stromal Cell Therapies for Neurodegenerative Diseases.

Nathan P Staff, David T Jones, Wolfgang Singer. Mayo Clin Proc. 2019, 94, 892-905.

神経変性疾患に対するMSC(間葉系幹細胞)治療の成果/総説

<概要>

  • 間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソームは、幹細胞と同様の機能的特性を有し ており、組織の修復・再生に極めて重要な役割を果たす可能性が期待されている。
  • 過去10年間で、神経変性疾患(典型的には致命的な疾患であり、他の頑健な治療法がない疾患)の治療へのMSC使用についてかなりの進歩があった。
  • このレビューでは、成長因子分泌、エクソソーム分泌、神経炎症の減衰など、神経変性疾患におけるMSCの作用機序を論じている。
  • 筋萎縮性側索硬化症、多発性萎縮症、パーキンソン病、アルツハイマー病におけるMSC治療に関する前臨床および初期臨床研究の概要を紹介する。
  • 有効性を確立し、患者を危険な副作用から守るためには、MSC療法の継続的で厳格な研究が重要となる。
2020

The biology , function , and biomedical applications of exosomes

Raghu Kalluri, Valerie S LeBleu. Science. 2020, 367, eaau6977.

エクソソームの治療応用の可能性/総説

<概要>

  • 細胞外小胞(EV)の研究によって、細胞間コミュニケーションや臓器恒常性・疾患における未知の細胞・分子メカニズムが明らかになる可能性がある。
  • エクソソームは平均直径が約100 ナノメートルであり、EVのサブセットである。
  • エクソソームの生合成はエンドソームで始ま り、他の細胞内小胞や小器官との相互作用により最終的な内容物が生成される。
  • エクソソーム の構成成分は、核酸、タンパク質、脂質、アミノ酸、代謝物など多岐にわたり、その起源となる細胞を反映することができる。
  • 様々な疾患において、エクソソームは細胞や組織の状態の変化を知る手がかりとなり、生体液中のエクソソームの検出は、多成分診断のの指針になる可能性がある。
2020

Stem cell-derived extracellular vesicles mitigate ageing-associated arterial stiffness and hypertension.

Rui Feng, Mujib Ullah, Kai Chen, Quaisar Ali, Yi Lin, Zhongjie Sun. J Extracell Vesicles. 2020, 9, 1783869.

幹細胞由来の細胞外小胞(エクソソーム)の動脈硬化、高血圧への影響

<概要>

  • 動脈硬化と高血圧の有病率は年齢とともに増加する。
  • 本研究では、人工多能性間葉系幹細胞由来の細胞外小胞(EV)が、加齢に伴う動脈硬化や高血圧症に及ぼす影響を調べた。
  • EVは人工多能性幹細胞由来の間葉系幹細胞(iPS-MSC)から採取・精製した。
  • 実験には、C57BL/6の若年および老年の雄マウスを使用した。
  • EVs群のマウスには、週1回、4週間にわたって尾静脈から注射した (18×10^6個のEVs/マウス/injection)。
  • 血圧(BP)はテールカフ法を用いて測定し、直接カニュレーションして検証した。脈波伝播速度(PWV)は、ドップラー装置を用いて測定した。
  • 老齢マウスでは、PWVとBPが有意に上昇し、動脈硬化と高血圧を示した。
  • EVの静脈内投与は、 老齢EVマウスにおいて、内皮依存性の血管弛緩と動脈コンプライアンスを向上させながら、加齢に伴う動脈硬化と高血圧を有意に抑制した。
  • 老齢マウスの大動脈では、エラスチンの分解とコラーゲンIの沈着(線維化)が増加していたが、EVsは加齢に伴う構造的リモデリングを大幅に改善した。
  • その結果、EVは老齢マウスの大動脈におけるサーチュインタイプ1(SIRT1)の発現低下や内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現を抑制した。
  • 培養ヒト大動脈内皮細胞では、EV はSIRT1、AMP活性化プロテインキナーゼα(AMPKα)、eNOSの発現を促進した。

<結論>

  • iPS-MSC由来のEVは、SIRT1-AMPKα-eNOS経路の活性化とMMPおよびエラスターゼの阻害を介して、加齢に伴う血管内皮機能障害、動脈硬化、高血圧を抑制した。
  • このようにEVは動脈 の加齢を緩和する。
  • この発見は、老化に関連する血管疾患に対するEVの治療の可能性にも光を当 てている。
2020

Pleiotropic Effects of Exosomes as a Therapy for Stroke Recovery

Yuji Ueno, Kenichiro Hira, Nobukazu Miyamoto, Chikage Kijima, Toshiki Inaba, Nobutaka Hattori. Int J Mol Sci. 2020, 21, 6894.

脳卒中回復治療法としてのエクソソームの多面的効果/総説

<概要>

  • 脳卒中は障害の原因の第一位であり、脳卒中生存者は、組換え組織プラスミノーゲン活性化剤治療や血管内血栓摘出術を受けても、長期的な後遺症に悩まされている。
  • エクソソーム(ナノサイズの細胞外膜小胞)は、炎症反応を抑制しながら神経新生、血管新生、軸索伸長を促進し、脳卒中後の機能回復を促進することを示唆する証拠が増えてきている。
  • 脳卒中の機能回復とエクソソーム治療との関連を検討するために、エクソソームの種類、脳卒中モデル、エクソソームの供給源、行動解析、転帰データ、および分子メカニズムを解析したシステマティックな文献レビューを実施した。
  • 今回のシステマティックレビューには13の研究が含まれている。
  • 大多数の研究では、一過性中大脳動脈閉塞後24時間以内に間葉系間葉系間質細胞または幹細胞由来のエクソソームを静脈内投与したところ、神経重症度および運動機能の有意な改善が認められた。
  • また、特定のマイクロRNAや分子が同定され、それらの増幅が神経新生、血管新生、軸索伸長、シナプス形成などの治療効果を高めることが示された。
2020

Fat Therapeutics: The Clinical Capacity of Adipose-Derived Stem Cells and Exosomes for Human Disease and Tissue Regeneration.

Lipi Shukla, Yinan Yuan, Ramin Shayan, David W Greening, Tara Karnezis. Front Pharmacol. 2020, 11, 158.

脂肪由来幹細胞と エクソソームがヒトの疾患や組織再生に与える影響/総説

<概要>

  • 脂肪移植は、欠損した組織を修復するために形成外科で行われる確立された外科技術である。
  • しかし、脂肪移植が頻繁に行われるようになったにもかかわらず、移植された脂肪の生存または修復効果のメカニズムについての科学的理解はまだ不足している。
  • 放射線治療で損傷した組織の乳房再建に脂肪移植を行うことで、組織再生を促進する幹細胞の臨床的可能性に関する手掛かりが得られた。
  • 放射線治療を受けた組織に健康な脂肪を移植すると、放射線障害(線維化、瘢痕化、拘縮、疼痛)を回復させるように見えたが、この現象はいくつかの動物実験で検証されている。
  • このような治療効果を説明し、高めるために、脂肪由来の幹細胞(ADSCs)が重要な役割を果たしていると考えられ、脂肪にADSCを濃縮する技術が開発された。
  • 幹細胞は、組織の損傷に対処するために待機している「道路補修隊」である。ADSCsは、パラクラインシグナル因子を単独で、あるいは細胞外小胞(エクソソーム)として放出すること により、影響を及ぼすことができる。
  • あるいは、ADSCsは重要な免疫/炎症プロセスを増強したり、自ら成熟した脂肪細胞に分化して人工組織の「ビルディングブロック」を提供したりする。
  • いずれにしても、脂肪組織は、採取と処理が容易であること、ほとんどの患者に脂肪組織が比較的豊富に存在することから、治療に応用するための間葉系幹細胞の理想的な供給源となる。
  • 本稿では、脂肪移植、ADSC強化脂肪移植、脂肪幹細胞療法の臨床応用に関する最新の知見を概説する。
2020

Exosomes: roles and therapeutic potential in osteoarthritis.

Zhenhong Ni, Siru Zhou, Song Li, Liang Kuang, Hangang Chen, Xiaoqing Luo, Junjie Ouyang, Mei He, Xiaolan Du, Lin Chen. Bone Res. 2020, 8, 25.

変形性関節症におけるエクソソームの役割と治療の可能性/総説

<概要>

  • エクソソームは、細胞間のコミュニケーションを調節することで、多くの生理的・病理的プロセスに関与しており、変形性関節症(OA) を含む多くの疾患に関与している。
  • エクソソームは、ヒトの関節腔内で検出可能であり、OAの進行に伴って変化することが観察されている。
  • 軟骨細胞、滑膜線維芽細胞、 骨芽細胞、腱鞘細胞などの関節細胞は、エクソソームを産生・分泌し、 標的となる細胞の生物学的効果に影響を与えることができる。
  • さらに、幹細胞由来のエクソソームには軟骨の修復促進、滑膜炎の抑制に加え、軟骨下骨のリモデリングを仲介することで、OA関節を損傷から守る働きがある。
  • 本総説では、OAにおけるエクソソームの役割と治療の可能性をまと め、今後のOA患者に対するエクソソーム治療の展望と課題について述べている。
2021

Mesenchymal stem cell-derived extracellular vesicles reduce senescence and extend health span in mouse models of aging.

Akaitz Dorronsoro, Fernando E Santiago, Diego Grassi, Tianpeng Zhang, Ruenn Chai Lai, Sara J McGowan, Luise Angelini, Mitra Lavasani, Lana Corbo, Aiping Lu, Robert W Brooks, Marta Garcia-Contreras, Donna B Stolz, Antonio Amelio, Siddaraju V Boregowda, Mohammad Fallahi, Adrian Reich, Camillo Ricordi, Donald G Phinney, Johnny Huard, Sai Kiang Lim, Laura J Niedernhofer, Paul D Robbins. Aging Cell. 2021, 20, e13337.

若いマウスから採取した間葉系幹細胞由来細胞外小胞の老化抑制と寿命延伸効果

<概要>

  • 加齢に伴い、組織はストレスから回復する能力を徐々に失っていく。その一 因は、体性幹細胞の機能低下と老化負荷の増大にある。
  • 我々は、骨髄由来の 間葉系幹細胞(BM-MSC)が培養中に急速に老化し、機能不全に陥ることを 明らかにした。
  • 一方、若いマウスから採取したBM-MSCを老化マウスに注入すると、寿命と健康寿 命が延長し、若いBM-MSCのコンディションドメディア(CM)は、老化した幹細胞や老化した線維芽細胞の機能を回復させた。
  • 若いBM-MSCのCMからの 細胞外小胞(EV) は、若いBM-MSCの注射と同様に、Ercc1-/-マウス の寿命を延長した。(老齢マウスのEVはこのような効果が低下している)
  • また、ヒトES細胞(胚性幹細胞)から作製したMSCのEVを投与すると、 培養および生体内で老化が抑制され、健康寿命が延長した。

<結論>

  • MSC-EVは、腫瘍の発生やドナー細胞の拒絶反応のリスクを回避しながら、 成人幹細胞の治療効果を付与するための効果的で安全なアプローチである。
  • これらの結果は、 MSC由来EVが非常に効果的な高齢者治療薬であり、老化の進行や細胞の老化によって引き起こされる各種疾患の発症を低減させる可能性があることを示している。
2021

Mesenchymal stromal cells-derived extracellular vesicles alleviate systemic sclerosis via miR-29a-3p.

Pauline Rozier, Marie Maumus, Alexandre Thibault Jacques Maria, Karine Toupet, Joséphine Lai-Kee-Him, Christian Jorgensen, Philippe Guilpain, Danièle Noël. J Autoimmun. 2021, 121, 102660.

間葉系ストローマ細胞由来細胞外ベシクル(エクソソーム)の全身性強皮症への影響

<概要>

  • 全身性強皮症(SSc)は、根治的な治療法がなく、死に至る可能性のある疾患である。間葉系ストローマ細胞(MSC)はSScに有効であることが証明されているが、この多臓器線維性疾患におけるMSC由来の細胞外小胞(EV)に関するデータはない。
  • マウスMSCまたはヒト脂肪組織由来MSC(ASCs)から小型EV(ssEVs)および大型EV(lsEVs)を単離した。
  • コントロールのantagomiR(Ct)またはantagomiR-29a-3p(A29a)は、EV生成前にMSCおよびASCsにトランスフェクトした。
  • EVは、21日目にHOCl誘発SScモデルに注入され、42日目に安楽死させられた。その結果、ssEVとlsEVの両方が病気の経過を遅らせるのに有効であることがわかった。
  • 皮膚と肺ではすべての疾患パラメータが改善された。MSCのmiR-29a-3pの発現を低下させると、治療効果は全く消失した。
  • ヒト ASC-EV も同様の効果を示したが、 A29a を導入した ASC からのEV は皮膚線維化を改善できなかった。
  • miR-29a-3p の標的遺伝子として Dnmt3a, Pdgfrbb, Bcl2, Bcl-xl を同定し、その制御が皮膚線維化の改善に関連することを明らかにした。
  • 本研究は、SScにおけるmiR-29a-3pの治療的役割とメチル化およびアポトーシスの制御の重要性を明らかにした。